審判すること。

幸いにも、東日本選手権の審判員を推薦して頂き、旗を振らせていただきました。

直前に県大会、水戸市競技会の審判をしたことで、今の自分がどの様な見方で旗を振っているのかがよく分かりました。

水戸市の競技会の三段以上の決勝戦で管理人が主審をした時、赤のツキが入っていたかどうか。大会が終わっても頭に残っていました。結果は赤がその前に有効だったツキで優勝でしたが、次のツキでは管理人は上げず、一人の副審は旗を上げました。競技会当日には審判長にお伺いをすることができなかったので、夜にメールで判定を尋ねました。

管理人の観点は、確かに突いていたけれど、大変雑な打突であり、なぎなたの繊細さ、シャープさは見受けられなかった。というところです。

審判長からのお返事は、「間も詰まり、力みもあった。しかし、相手の体勢はどうだったのか。『虚』であった。打突は雑であったが相手の隙をついた『攻め』を評価する」その様にありました。

ああ本当に、、我に返った気がしました。試合は二人で行うこと。

確かに、6月ぐらいからは確実な打突にこだわって稽古をしていました。試合で一本取るための確実な打突。大先生が茨城国体での勝利を目指し、強化選手たちにご指導されているのを学んでいました。そのほとんどは基本打突の繰り返しでした。日本武道館での錬成大会、県大会もありましたので子供たちにも確実な打突の指導をしていました。そして自分自身にも打突台と打ち返しと基本打突で確認していました。大阪の審判研究会でも先生方がどのような打突を取るか。考えていました。

そうしていましたら、次の大会の審判では選手の打突にこだわりすぎる審判員になっていたのです。

(有効打突)

【競技規定集 第22条】

有効打突とは、なぎなたの打突部位を、充実した気勢と適法な姿勢で、打突部位を呼称しながら確実に打突し、残心のあるものとする。


有効打突は試合において最も大切なことの一つですが。


(勝負の判定)

【競技規定集 第25条】

次の場合は有効打突と認め1本とする。

1.やや軽くても追い込んだ際の打突、あるいは追い込まれた時に加えた最も確実な打突。

2.打突後、構えを崩し気勢を緩め、試合を中断した者に対する確実な打突。

3.攻撃の意志なく単になぎなたを相手の体につける者に対して加えた確実な打突。

4.なぎなたを落とした者、また倒れた者に直ちに加えた最初の確実な打突。

5.試合時間終了の合図と同時に加えた確実な打突。


指導すること、稽古すること、試合者となって試合をすることと、審判員としてコートの中に立った時の観点は同じでは無い、ということ。

誰でも、試合では有効打突を出さないと一本にならず、勝つことができないのは分かっています。そのため、稽古では有効打突を一生懸命練習し、試合稽古では一歩も引かないで積極的な攻めを練習します。指導者もまた、同じです。


 【なぎなたハンドブック 二段の部】

打突の機会

①出ばな

  相手が打って出ようとする瞬間

②引く時

  打ち合いの中、間合いをとるため、気や技でおされて相手が引く瞬間

③技のつきた時

  攻防の技がつきた時、打突に失敗した瞬間

④居ついた時

  技がとぎれたり、動作が止まった瞬間

⑤持ち替える時

  持ち替えようとする瞬間

⑥息を吸う時

⑦注意が散漫になり、集中力がとぎれた時

⑧迷いが生じた時


ハンドブックの二段の部に載っています。二段の中に載っているということは、二段を受けるには、つまり初段の段階でこれらを知ることが大切であるということです。そして、競技規定集の有効打突の通り。

実にハンドブックの打突の機会と競技規定集第25条は被るところがいくつもあります。

審判の目線で読むと、25条の1、2、4は打突の機会の②〜⑧まで重なります。実は①もそうですね。出ばなほど、切先が中心から外れた時、そこを待っていた相手に狙われやすいからです。


県大会の休憩の時、榎戸先生に管理人の審判の姿をお尋ねしました。

「他の審判がちゃんと見えていますか?」

そう問われました。見えている。見えているはず、たぶん。視界には入っているけれど。大会が終わってからもしばらく、その意味を考えていました。そして、水戸市競技会の反省で審判長のI先生から頂いた言葉。

ようやく、二つの大会での私は、出てきた打突と、打突を出した試合者しか見ていなかったことに気がつきました。だから、「他の審判がちゃんと見えていますか?」そうご指導いただいたんです。

正しい技を知ることは大切です。示すことも。しかし、審判員として審判をするならば。試合者は二人。双方の姿勢・態度・打突をよく観ることが求められます。そして審判員のチームワーク。主審ならば時計委員や採点掲示(見えれば)にまで気を配る必要があります。

あの時の突かれた相手は、実に『虚』でありました。自分の打突のあと、フッと気を抜いた瞬間でした。


東日本に行く前に気がついて良かったと、心から思いました。

そして東日本。審判員としてはかなり若い方でしたが、演技競技に入れていただけました。試合競技も、団体、男子個人、女子個人と、思っていたより旗を多く振らせていただきました。

兎に角、楽しかった!!!😆

管理人、そんなに緊張しません。頭が真っ白になることはありません。今のところ。

ドキドキ、ワクワクします。勿論ちょっとは緊張しますけどね、でも、楽しみの方が多くあります。やっぱり、審判って審判をすることでしか学べないんですよね。だから、審判するの大好きです。こちらからお願いして審判をやらせていただきたいぐらい、好きです。だってね、審判の練習って、ほとんどできませんよね。大抵の場合、練習が本番なのですから。だから沢山審判をやりたい。

審判って、正しいものを、良いものを取ろうって思ってやりますが、審判員はそれぞれの段階以上のものは出せない(観れない)んですよね。当然審判長よりも数段(数百段)未熟な所にいるわけですから、審判長の先生方もご自身のレベルを求めてはいないと考えています。だって、2種は1種とは雲泥の差ですし、五段は五段のレベルでしか無いから。

しかし、甘えません。今できることをするんです。それは最大限の自分自身の眼を持って審判することです。だから私は自信を持って審判します。上の先生方が求めるような旗は振れるか分かりませんが、今の自分を精一杯出してやります。

時々、実力以上の審判ができる時もあるんです。誰でも。それはやっぱりチームワーク。特に先輩方と審判に入っている時。

東日本選手権でもそうでした。始めのうちは皆動きが硬かったと思います。しかし、一緒に旗を振り続けることでこの瞬間!まさしくシンパシー、共感するようになります。そして一緒に旗を振ること自体が楽しく感じるようになるのです。管理人も先輩方とチームで旗を振ることで、引っ張っていただき、普段より良い審判ができたのではないかな・・・。どうでしょう。

最後に、審判長の吉井先生から審判員全員にお言葉を頂きました。

「誰もができる審判はしないでください。みなさん、ここに立っている以上、人よりも一歩先を行く審判をしてください」

全員が深く、うなずきました。

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